筆耕という職業と求人
現代では印刷技術の発達により、文字を手書きする機会が少なくなってきました。
そしてそれに伴い、ある職業の需要も減少傾向にあります。それが筆耕です。
筆耕は文字を書写する人、あるいはその行為をさす言葉で、かつてはビジネス文書や公的機関に提出する書類などを浄書する仕事として重要性を持っていました。
しかし現在でも職業としての筆耕がなくなったわけではありません。特定の分野において一定の需要はあります。それはたとえば賞状・挨拶状・表札などを書く場合です。
ホテルや結婚式場でネームプレートや横断幕を書いたり、飲食店のお品書きを制作したりする場合もあります。
美しく、そして時には個性的な手書き文字のニーズは現在でも根強いものがあります。
したがって、筆耕に対する求人も数は少ないながら存在します。その多くは筆耕の専門会社やデザイン会社などです。
雇用形態は正社員・派遣社員・1件ごとのスポット契約などさまざまです。まれにホテルの宴会部門などが直接雇用するケースもあります。
筆耕の求人でホテルに就職しました
私はずっと企業で働いていたのですが、残業が多く、体を壊して会社を辞めました。
その後、何かもっと定時で帰れるような仕事はないものかと探していましたが、私には資格も無く途方に暮れていました。
そんな時地元の友人が、筆耕の仕事をやればいいと言ってくれました。私は筆耕という言葉も初耳で、そんな専門職があるなんて思ってもみませんでした。
確かに私は書道の有段者で、何度か書道展に入選した事もあります。早速求人を検索してみると、ホテルの筆耕室の求人がありました。幸いな事に採用され、今に至ります。
筆耕室では、披露宴の会場入り口の案内書きや、席札や、会社の壮行会などの横断幕などを書いたりします。人名など、決して間違ってはならないので、とても集中力が要りますが。
何時間も集中して書いた後には、何とも言えないすがすがしい達成感と爽快感があります。
結婚式がたてこむ時期には少し残業もありますが、基本的には時間内に帰れます。手に職をつけてくれた両親に感謝しています。
筆耕の仕事は早く正確に書くことが重要です
私が筆耕の仕事を見つけたのは、たまたま訪れた百貨店に求人募集の張り紙があったことがきっかけでした。その求人は経験者を対象とした募集ではありましたが、思い切って応募してみました。
仕事内容は、お歳暮やお中元の熨斗を書くというもので短期間の募集でした。書道を習っていたこともあり、無事採用をされましたが、書道で書くのと筆耕の仕事の書き方とは全く違っていて、最初のうちは戸惑いを覚えました。
最初のうちは、ベテランの人に筆の持ち方や書き方などを教えてもらいながらの仕事だったので時間も掛かりましたし、周りにも迷惑をかけてしまったと思います。徐々に慣れてくると、自分の普段の文字のクセが出てしまうので、それも注意が必要でした。
正確に間違いなく書くことはもちろんですが、時間を掛けずに数多く書くことも重要です。慣れるまでは大変でしたが、数をこなすことによって短時間で多く書くことが出来るようになりました。今でも期間限定ですが筆耕の仕事をしています。